無意識のうちにお尻、それも肛門付近をかいていませんか?
実は肛門にかゆみを感じる人は多く、肛門掻痒症という名前もついているんです。
かゆみを放っておくと、知らず知らずかきむしってしまい、症状が悪化する場合もあります。
今回は、肛門がかゆい原因にはどんなケースがあるのか、そしてどんな薬や対策が有効なのかについてまとめました。
1.肛門がかゆい!肛門掻痒症とは?
1-1.肛門掻痒症の原因
2.肛門がかゆい原因【痔などの病気編】
2-1.イボ痔
2-2.切れ痔
2-3.痔ろう(あな痔)
3.肛門がかゆい原因【病気以外編】
3-1.ギョウ虫
3-2.かぶれ
3-3.トイレ後の拭きすぎ
4.肛門がかゆい時の対処法は?薬や病院、生活習慣など
4-1.痔の軟膏薬を使う
4-2.病院へ行ってみる
4-3.生活習慣を見直す
肛門がかゆい!肛門掻痒症とは?
肛門掻痒症は「こうもんそうようしょう」と読み、特定の病気ではなく肛門周辺部がかゆくなる病気の総称です。
- 原因が分からない場合⇒突発性肛門掻痒症
- 原因が分かる場合⇒続発性肛門掻痒症
といった区別がなされ、肛門周辺がかゆい症状がある場合、原因は何であっても肛門掻痒症の可能性が考えられます。
肛門掻痒症の原因
肛門掻痒症の原因としては下記のことが挙げられます。
- 洗浄や拭き取り不足
- 過度の洗浄
- 便秘による便の残留
- 痔(イボ痔、切れ痔、痔ろう(あな痔))
- 不安やストレスなど心因性によるもの
このように肛門のトラブル全般で、かゆみが出る症状を総じて肛門掻痒症と呼んでいます。
肛門がかゆい原因【痔などの病気編】
痔には3つの種類がありますが、それぞれ原因や症状が異なります。
いずれの場合もかゆみを伴うケースがあるので、自分の症状が当てはまるかどうかをチェックしておきましょう。
イボ痔
イボ痔とは、肛門にいぼ状の腫れができている状態で、イボが肛門の外側に出ている状態が外痔核、肛門内部に発生している場合を内痔核と呼んでいます。
直腸肛門部がうっ血して腫れあがることでイボ痔が起こりますが、その原因は排便時のいきみや便秘、長時間座ったままといった、肛門への負荷による血流障害だと言われています。
イボ痔になると患部からの出血や肛門から脱出といった症状も見られ、それが原因で血液や分泌物が肛門の皮膚に付着すると、かゆみの原因となります。
切れ痔
切れ痔は裂肛やさけ痔とも呼ばれ、肛門の皮膚が切れた状態のこと。
便秘や便の硬さが原因で排便時に肛門に圧力がかかり、裂傷が出来てしまうことが切れ痔の原因です。場合によっては激しい下痢によっても切れ痔になります。
切れ痔に限らず、傷の治りかけってかゆみを伴いますよね。これは、切れていた部分が修復する際に分泌されるヒスタミンが原因と言われています。
切れ痔は女性に多い?
切れ痔は女性に多いと言われていますが、その理由としては
- ダイエットなどの食事制限によって便秘になりやすい
- 排卵日を過ぎると黄体ホルモンの分泌が盛んになり、子宮に水分を集めようとするため腸の水分が減り便秘になりやすい
- 出産時に強くいきんだ際の圧力
といったことが考えられます。
生理が始まると快便になる場合には、ホルモンバランスによる便秘の可能性が高いです。
痔ろう(あな痔)
直腸と周りの皮膚の間にトンネルのような道ができ、そこから膿が外に出る症状が痔ろう(あな痔)です。
膿が出ている状態や、その前段階の皮膚が盛り上がっている「しこり」のような状態では、かゆみよりも痛みを感じます。
ただし、痔ろうの初期段階では痛みよりもかゆみを感じやすいです。
かゆかった部分にしこりが出来てきたら、痔ろうの可能性が高いので、注意深く経過を見守りましょう。
肛門がかゆい原因【病気以外編】
痔などの病気以外にも、肛門がかゆくなる場合があります。
ギョウ虫
ギョウ虫は子供が感染しやすいと言われていますが、大人でも感染する場合があります。
原因は手洗いが不十分で、子供の場合は指しゃぶりをした際などに経口感染する可能性が考えられます。
ギョウ虫は普段は盲腸にいて、夜に肛門付近に約1万個の卵を産み付けに来ますが、この卵が強いかゆみの原因です。
駆除薬を使えばすぐに治りますが、子供が感染した場合は家族も感染してしまうケースがあるので注意です。
かぶれ
かぶれが原因で、肛門周辺がかゆくなるケースも考えられます。
石鹸や下着、生理用品など、成分や素材にアレルギーを起こしている可能性もあります。ボディソープや下着の洗濯時のすすぎ残しや、化学繊維のショーツやナプキンなども原因に考えられます。
かぶれの場合は肛門以外にもかゆみが出る場合が多く、原因になっているものを取り除けば徐々に治まります。
トイレ後の拭きすぎ
肛門は非常にデリケートな部位ですので、トイレの後に強く拭き過ぎることが原因でかゆみを感じる場合もあります。
排泄後は強くこするのではなく、優しく何度も丁寧に拭き取るようにしましょう。
またトイレットペーパーを柔らかいものに変えたり、ウォシュレットを中心にして、拭き取りは軽く済むようにしましょう。
排便後の強い拭き取りを何度も繰り返すことで痔になってしまうケースもありますので、注意が必要です。
肛門がかゆい時の対処法は?薬や病院、生活習慣など
肛門のかゆみの対処法として、自分で治すか病院へ行くかという選択肢があります。
また、日頃の生活習慣を正して、かゆみをぶり返さないことも大切です。
市販の塗り薬を使う
まずは市販のお薬で治療する方法です。
おしりがかゆいと感じたら、市販の軟膏を塗って様子を見てみましょう。
女性の場合、薬局やドラッグストアで購入するのが恥ずかしいと感じるかもしれませんが、通販でも市販の塗り薬の購入が可能です。
有名どころのオシリアには抗炎症剤や抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤などかゆみを緩和する成分が配合されています。殺菌剤やビタミンEなども含まれていますので、10日間程度使って様子を見ましょう。
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それでもかゆみが治まらない場合には、使用を中止して病院へ行ってください。
肛門掻痒症は、自然に治そうと思っても何度もぶり返す場合も多いので、こういった塗り薬で対処療法を行いつつ、生活パターンを改善していく必要がります。
痔の場合は痔の軟膏薬を使う
また、症状が完全に痔で痛みも伴う場合は、痔の軟膏や坐薬の方が効果的かと思います。その場合は乙字湯という漢方薬も有効ですので、必要に応じて使い分けてください。
関連記事⇒痔の薬として市販されている軟膏・座薬・漢方の効果と副作用について病院へ行ってみる
肛門科や皮膚科で、肛門掻痒症を治療をする方法もあります。
肛門がかゆいと言っても、痔や感染症など色々な原因が考えられますので、原因特定をお医者さんにしてもらうメリットは大きいです。女性はなかなか病院へ行くのも勇気がいるかも知れませんが、本来であれば最もベストな選択ですね。
肛門掻痒症は何かを受診すればいい?
何科を受診すれば良いのか分からない場合には、直接、通えそうな距離の病院に電話で問い合わせてみるのも良いでしょう。
一般的には、以下のような感じで症状によって受診する科を変えます。
- 痔や肛門掻痒症の場合には肛門科
- ギョウ虫が疑わしい場合には内科(子供は小児科)
- 外陰部と肛門がかゆい場合にはカンジタ症も考えらるので婦人科
- ページェット病やボーエン病が疑われる場合には皮膚科
- 精神的な原因でかゆくなっている場合は精神科やメンタルクリニック
生活習慣を見直す
自分の生活スタイルの中で、肛門をかゆくしている原因が無いか考えてみましょう。
いくつかのチェックポイントを挙げると、以下の通りです。
- 排便の後に強く拭き過ぎている
- 排便後に便が肛門に残っている
- 熱いシャワーを当てすぎている
- 入浴時にボディソープをしっかり流せていない
- ショーツに洗剤カスがついている
- 無意識に肛門をかきむしって傷を作っている
このほか、便秘や長いトイレ、長時間の座り作業などは痔の原因になるので、やはり肛門のかゆみにも関係します。
意識できるところから改善していきましょう。
まとめ
肛門は毎日のように排便をつかさどっている部位ですので、長く生きている間に不調が出ることもあります。
反面、恥ずかしさから、なかなか治療に踏み切れない方が多いのも特徴です。
まずは原因を理解して自分でできる対策を行い(痔の場合は痔の治療)、それでも変化が無ければお医者さんに相談するようにしてください。
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