肝臓の数値の種類と意味 高い原因は?どんな病気のリスクがある?

肝臓の数値の種類と意味 高い原因は?どんな病気のリスクがある?

40歳を過ぎると、健康診断の色々な数値が気になってくる方が多いようです。

私の鍼灸の患者さんでも、お酒のお付き合いが多い方、運動不足の方、生活習慣が乱れている方などは、皆さん特に肝臓の数値を気にされています。

今回は、健康診断の血液検査結果によく出てくる肝臓に関係した以下の数値について紹介していきます。

  • γ-GTP
  • ALT(GPT)
  • AST(GOT)
  • ALP
  • コリンエステラーゼ(ChE)
  • LDH
  • 総ビリルビン(T-Bil)

それぞれの数値について、どんな意味を持ち、どうして高くなってしまい、その結果どんな病気のリスクがあるのか。健康診断の結果を見る際の参考にしていただければ幸いです。

1.はじめに~肝臓の数値の考え方~
2.γ-GTP
3.ALT(GPT)
4.AST(GOT)
5.ALP
6.コリンエステラーゼ(ChE)
7.LDH
8.総ビリルビン(T-Bil)

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はじめに~肝臓の数値の考え方~

それぞれの数値の解説の前に、注意点です。

今回取り上げる数値は、血液検査の中で主に肝臓に関わるものを記載していきます。

しかし、1つの数値の異常が必ずしも肝臓の異常を示すものではありません。たとえ肝臓でしか作られていない物質の数値だとしても、肝臓以外の病気で変動している場合もあります。

肝臓の異常として絞り込むためには、肝臓に関わる数値がいくつも変動していることを確認しなければなりません。

例えば、γ-GTPとAST(GOT)とALT(GPT)の3つの肝臓に関わる数値が上昇している場合は肝臓の異常がある可能性があると考える事ができますが、そうでない場合は、肝臓以外も疑う必要があります。

その場合は、ここに記載した以外の病気などのリスクもあることをあらかじめご了承ください。

γ-GTP

参考基準値
男性=50UI/L以下
女性=32UI/L以下

γ-GTPの意味

γ-GTPとは、血液中・肝臓・腎臓・胆管細胞・脾臓・小腸などに存在する酵素の1つで、タンパク質を分解したり、アルコールや薬の解毒作用に関わる働きを持っています。

さまざまな臓器に存在する酵素ですが、主に肝臓に多く存在するため、γ-GTPは、肝臓の状態を判断する重要な数値とされています。

肝臓に何らかの障害が起こってこのγ-GTPが血液中に漏れ出ると、血液検査で基準値以上の数値として出現するというわけです。

※このように本来の場所から血液中に漏れ出た酵素を逸脱酵素と言います。

血液検査では、これらの逸脱酵素の量の変化を見る事で各臓器の状態を推測することが出来るため、血液検査の数値で臓器の大まかな状態が把握できます。

γ-GTPが高くなる原因

γ-GTPの生産量そのものが増加するケース
  • アルコールの大量摂取・日常的な大量摂取
  • 運動不足や過食・過栄養による肥満や生活習慣病
  • 処方薬や常用薬などの使用

こういった原因により肝臓での代謝量が増加するため、代謝に必要な酵素であるγ-GTPの生産量も増加します。

肝臓が何らかの傷害を受けたケース
外傷によるダメージや肝細胞の破壊など、肝臓に障害が発生することで血液中にγ-GTPが漏れ出て数値が増加します。

もしもあなたのγ-GTPの数値が100以上の場合、注意が必要です。放っておくと深刻な病気になっていくリスクが高くなります

200以上の場合はすでに深刻な病気の場合もありますので、すぐに病院を受診してください。

γ-GTPの数値が高いとどんな病気のリスクがあるか

  • 脂肪肝
  • アルコール性肝炎
  • 薬剤性肝炎
  • 胆汁うっ滞
  • 胆石
  • 閉塞性黄疸
  • 肝硬変
  • 肝がん
  • 胆道がん

などの病気リスクが考えられます。

ALT(GPT)

参考基準値
30UI/L以下

ALT(GPT)の意味

ALT(GPT)とは、主に肝臓に存在するアミノ酸代謝に関わる酵素の1種です。

ALT(GPT)が高くなる原因

ALTはほとんどが肝臓に存在するため、基準値を上回る場合は、肝臓に傷害があり血液中に漏れ出ていることを意味します。

高値(100以上)になれば、その障害が大きい事を示しています。

ALT(GPT)の数値が高いとどんな病気のリスクがある?

100以下の場合
  • 脂肪肝
  • 慢性肝炎
  • 肝硬変

などの病気リスクが考えられます。

100以上の高値の場合
  • 脂肪肝
  • 急性肝炎
  • 慢性肝炎
  • 肝硬変
  • 肝がん
  • 脂肪肝

などの病気リスクが考えられます。

AST(GOT)

参考基準値
30IU/L以下

AST(GOT)の意味

AST(GOT)とは、肝臓・心臓の筋肉・手足の筋肉・赤血球など肝臓以外にも多く含まれる、アミノ酸代謝やエネルギー代謝に関わる酵素の1種です。

様々な臓器に存在するため、ASTの数値だけでは肝臓に限定した障害があるかを判断することはできず、他の数値と組合せて異常のある臓器を判断します。

例えば、γ-GTPやALT(GPT)の数値と一緒に高い場合は、肝臓の障害が考えられます。

AST(GOT)が高くなる原因

肝臓の傷害、心臓の傷害、手足の筋肉の傷害により、血液中にASTが漏れ出すと数値が高くなります。

AST(GOT)の数値が高いとどんな病気のリスクがある?

100以下の場合
  • 脂肪肝
  • 慢性肝炎
  • 肝硬変

などの病気リスクが考えられます。

100以上の高値の場合
  • 急性肝炎
  • 肝硬変
  • 心筋梗塞

などの病気リスクが考えられます。

ALP

参考基準値
100~325UI/L

ALPの意味

ALP(アルカリフォスファターゼ)とは、リン酸化合物を分解する酵素の1種で、肝臓や腎臓・骨・小腸などの多くの臓器の細胞で作られます

主に肝臓で多く生産され、胆管を通り胆嚢に溜め、十二指腸に排出されます。このため、ALPの数値は、肝臓、胆管、胆嚢の異常に深く関連して考えられることが多いです。

ALPが高くなる原因

なんらかの肝臓の傷害や肝機能の低下により、胆汁うっ滞など胆管、胆嚢などの異常が起こると、血液中に漏れ出てくるため数値が高くなります。

※多くの臓器で生産されるために、γ-GTP、AST、ALTなどの肝臓に関連する数値が一緒に上昇している場合に肝臓の異常と判断されます。

また、遺伝的に高い場合や妊娠、薬の副作用でも上昇します。処方薬や常用している薬にも反応して高値になる場合があるため、薬を使用している方は、高値の場合は医師に相談しましょう。

※実際にあった話なのですが、鍼灸サロンにいらしている40代女性の重いリウマチ患者さんが、処方された薬の影響でALPが急上昇したことがありました。

その時は、300程度だったALPの数値が400→500→700→1200と急激に上昇し始めたため、どういうことなのかと相談を受けたんです。

他の血液検査の数値はさほど高値ではないため、薬害により上昇してしまうケースを思いだし、薬か何かを始めましたか?と尋ねたところ、病院でリウマチの治療に免疫抑制剤を使い始めたという事でした。

その薬のせいではないかとお医者さんに相談するよう話したところ、薬を中止してみたら数値が回復したという事例です。

薬の種類によってALPに急激な変化を起こすことがあると実感した時でしたが、その患者さんは病院で処方された薬で数値が上昇することはないと思っていたため、病院の薬は疑わなかったそうです。

ALPの数値が高いとどんな病気のリスクがある?

γ-GTPやALT・ASTなどの肝臓に関わる数値も高い場合
  • 肝胆道疾患(胆汁うっ滞など)
  • 急性・慢性肝炎
  • 肝硬変
  • 胆石
  • 胆道系や肝臓のがん

などの、肝臓や胆嚢に関わる疾患が疑われます。

他の肝臓に関わる数値は通常の場合
  • 骨疾患(骨折や骨肉種、骨軟化症、骨がん転移など)
  • 甲状腺機能亢進症

などの、主に骨・甲状腺などの疾患が疑われます。

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コリンエステラーゼ(ChE)

参考基準値
200~450IU/L
※施設により結構差があります

コリンエステラーゼの意味

コリンエステラーゼとは、肝細胞だけで生産される酵素の1種で、神経伝達物質の一種であるアセチルコリンを分解する働きを持ちます。また、脂質代謝にも関連します。

肝臓だけで生産されるため、低値になると肝機能の低下を示す数値とされています。

逆に、高値の場合は他のγ-GTP、ALT、ASTやアルブミン(肝臓でのみ合成されるたんぱく質の一種)の数値の異常と合わせて肝臓の障害が疑われます。

コリンエステラーゼが低くなる原因・高くなる原因

低値の場合に疑われるのは、肝臓の機能の低下です。

高値の場合に疑われるのは、脂肪肝など脂質が高い状態や肝臓の傷害で漏れ出ているケースです。

コリンエステラーゼの数値が低い・高いとどんな病気のリスクがある?

低値の場合の病気リスク
肝硬変などの肝機能障害が疑われます。
高値の場合の病気リスク
脂質代謝にも関わる酵素なので、栄養過多による脂肪肝が疑われます。

肝臓以外の疾患では

  • ネフローゼ症候群(腎臓)
  • 甲状腺機能亢進症
  • 糖尿病

などのリスクが考えられます。

LDH

参考基準値
240UI/L

LDHの意味

LDHとは、肝臓、心臓、筋肉、赤血球、腎臓、悪性腫瘍など、さまざまな個所で作られる酵素の1種です。

肝臓に多く存在して糖質代謝に関わり、糖質をエネルギーに変換する働きがあります。

LDHが高くなる原因

肝細胞の傷害により血液中に漏れ出すと高くなります。

また、心筋梗塞や筋肉の破壊される病気、悪性腫瘍がある場合にも高くなります(悪性腫瘍がある場合に必ず高くなるわけではありません)。

LDHの数値が高いとどんな病気のリスクがある?

肝臓の病気では
  • ウイルス性肝炎
  • アルコール性肝炎
  • 肝硬変

などの病気リスクがあります。

肝臓以外ではの病気では
  • 心筋梗塞
  • 悪性腫瘍(がん)

などの病気リスクがあります。

総ビリルビン(T-Bil)

参考基準値
0.2~1.2mg/dL

総ビリルビンの意味

ビリルビンとは、赤血球(ヘモグロビン)が破壊されると出てくる黄色い色素で、主に脾臓、肝臓、胆嚢などに存在し、血液中には少量存在します。

このビリルビンは、タンパク質と結合して間接ビリルビンとなり、血液によって肝臓に運ばれ、肝臓で直接ビリルビンという形に変換されます。

その後、胆汁成分として十二指腸に排泄され、腸内でウロビリノゲンに変換。ほとんどが便として排泄されますが、一部は再吸収されて再び肝臓に戻ります。

間接ビリルビンと直接ビリルビンを総じて、総ビリルビンと呼んでいます。

ビリルビンは黄色の色素であるため、増加すると皮膚が全体的に黄色がかってくる黄疸(おうだん)という症状が現れます。血中ビリルビン濃度が2.0mg/dL以上になると、皮膚や眼球結膜(白目のところ)が黄色くなるため、黄疸と判断できるようになります。

総ビリルビンが高くなる原因

肝細胞の傷害、胆道の障害などが起こっている場合に、血液中に代謝できなかったビリルビンが漏れ出て高くなります。

また、赤血球が細菌感染や自己免疫疾患など、何らかの原因で通常の寿命より早く多く破壊されてしまった場合も血液中で増加します。

総ビリルビンの数値が高いとどんな病気のリスクがある?

肝臓の病気の場合
  • 胆汁うっ滞
  • 肝炎
  • 進行した肝硬変
  • 肝がん

などの病気リスクがあります。

肝臓以外の疾患の場合
  • 胆石症
  • 溶血性貧血

などの病気リスクがあります。

まとめ

今回は、肝臓に関わる数値のうち、健康診断の血液検査で出てくる項目についてご紹介しました。

中には、「これ高かった!!」と慌てている方もいるかもしれませんね。

○○の数値が高いとどんな病気のリスクがある?という項目に示した病気は、あくまでリスクがあるだけで、高いと必ず発症している病気ではありませんが、数値が高く出た方は必ず病院での再検査などを受診してください。

肝臓は沈黙の臓器と言われる様に、なかなか自覚症状を感じらないのが厄介です。それだけに、異常な数値が出たら、早め早めの対処を是非心がけてくださいね!

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